クローバー
「御守りです」
荒い息を吐き続けているのに、こんな時まで他人の事を考えてどれだけ優しいんだ。何も出来ない自分がホントに恥ずかしい。
だんだん息が上がるコトハは、冷たい手をセイの頬に当てた。彼女の手は真冬でもないのにとても冷たい。
「妹をよろしくお願いします。セイ…ありがとう」
「コトハ?」
さっきまで荒かった息が急に静かになり、冷たい手がパタリと地面に落ちる。そして、彼女の笑顔は消えた。
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