短編置き場・3
青木君は大川君の腕に、アザになった注射痕があるのを見て納得した。

「そうか。俺は未成年なのにエロ本を出版してこのザマさ。しかし、まさか刑務所に入れられるとは思わなかったなぁ」

教室の窓には鉄格子がはめられ、ここが自由を制限された学舎であることを彼らに知らしめている。

「なあ大川君、折り入って君にだけ話があるんだが」

青木君は周囲の生徒に聞こえないように声をひそめた。

「俺と協力して、ここを脱獄しないか」

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