ひと夏の少女
まあ仕事の話だと思ったんだろう。で、誘ったはいいけど僕は深く後悔した。絶対断られると思ったのだ。だが……、彼女はにこっと笑みを浮かべ、(びっくりするほどに魅力的な)、


[いつにします?]


と僕に尋ねてきたのだった。
意外なことに、僕と翠は気があった。というより……、なんだか安心するのだ。
それは不思議と彼女も同じだったようで、僕たちはすぐに付き合うことになり……、そして結婚の約束もした……。
それが一ヶ月前。

トントン拍子にことは進んだ。両親と祖父母に翠を紹介するために、こうやって田舎に帰ってきても、未だうまく信じられない。
どうして翠ほどの美人が……、
これほどまでに僕を好きになってくれたんだろう?
その疑問はいつも僕の頭の中にあった。朝歯を磨いているときや、昼休みに食堂でぼんやりしているときとか……、不意にそんな疑問が僕の中に滑り込み、僕を悩ませる。
何度か彼女に聞いてみた。


[どうして、僕なんかを好きになったんだ?]


すると翠は、意味ありげに微笑み、


[言っても信じないから……]


と、そんな思わせぶりなことを言う。
そんなわけで、いったいどんな理由なんだろう、と僕はたまにとてもやきもきするのだった。


(続く)

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