夕暮れ行進曲
 俺たちは理科室を出て四組の教室へ戻った。立花の鞄を持ってくるためだ。

 立花は鞄を取ると廊下で待つ俺のほうへ走ってやってきた。俺たちはそのまま階段を降りて下駄箱へ向かった。

 立花は革靴を履く時必ず二回、つま先で地面に叩く。これは初めて立花を見たときから深く印象に残っていた。

 その後立花とは特に何も無く、普通に校門前で別れた。俺は自転車に乗りながら立花のことを考えるでもなく、曇り空の下ペダルをこいだ。
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