夕暮れ行進曲
 職員室のドアは目と鼻の先だ。早く行ってすませてしまおう、俺はそう自分に言い聞かせるがなかなか出来ない。
ポマードはたとえ職員室でも大声で生徒を怒鳴る。

 相手が女生徒でも、その生徒が泣くまで怒る。泣いても更に怒る。
あいつも加藤と同じようにSなんだろう。
生徒を殴れないから代わりに言葉攻めで苦しめるのだ。

 俺は窓の外を眺めながら、この後起きるであろう出来事を想像した。

 ぞっとする。俺はこれまで先生の誰からも愛されるように真面目一筋でやってきた。

 そんな俺が初めて味わう恐怖、そしてその相手があのポマードだとは。
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