つま先立ちの恋
もうヒカルちゃんを追うことは私にはできなかった。今度は教室に向かって走る。

「和泉っ!」

机に軽く寄りかかるように腰を下ろしていた和泉が顔を上げる。

私は歩きながら学ランを脱ぐと、それを和泉の胸に突きつけた。それから、

「早くヒカルちゃんを追って!」

「は…?」

「いいから早く! ヒカルちゃん、すっかり誤解しちゃってるんだってば。だから和泉から言ってあげて。私じゃダメなの」

「何が?」

「誤解をといてあげてって言ってるでしょが!」

何を呑気な顔してんだ、張り倒すぞ和泉!

と、和泉の胸ぐらを思わず締め上げようと掴んだら、

「てか、誤解じゃねーし」

とか。また、よくわからないことを言い出すし。

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