つま先立ちの恋
和泉の胸ぐらを掴んでいた手首を逆に和泉に捕まれた。その力の強さに寒気がした。

今までどれだけ加減されてたんだろう。

その力の差は明らかだ。


「お前はただ、目の前にいるヤツを勝手に想像して楽しんでるだけだ。自分の理想を押しつけてるだけだ。好きだって思い込んでるだけだ」

「そんなことないもん。私はフーと結婚するんだもん。もう決めたんだから…!」

「んな簡単に結婚なんて言うな。ガキのママゴトだってもう言わねぇぞ」

「ママゴトだとぉ?」

「同じだろうが」

「同じじゃないっ!」

一瞬、和泉の顔が緩んだ。同時に力も弱まる。私は和泉を突き飛ばし、その反動でベットに尻餅をついてしまった。

< 132 / 468 >

この作品をシェア

pagetop