つま先立ちの恋
「じゃ、シロ先生。世界陸上頑張ってくださいね!」

「おぉ、孫もな、、、」


何か言いかけていた言葉に今度は私が背を向けて歩き出す。早くその場から逃げ出したかった。


廊下を曲がった所で立ち止まり、壁にもたれてため息を吐き出す。モヤモヤしたこの気持ちも全部吐き出せたらいいのに。


どうしたらいいんだろう。ヒカルちゃんの顔をまともに見られない。この、後ろめたさにも似た感情のせいで。


「………和泉のせいにできたら、、、」


だけどできない。したくない。


迷っているのは他の誰でもない自分なんだから。


< 191 / 468 >

この作品をシェア

pagetop