つま先立ちの恋


補習は午前中で終わった。脳ミソ使いすぎで補給を余儀なくされた私は鞄からポッキーを取り出し、まるで小動物のように無心でそれを食べる。

動けるようになった時にはもう教室には誰もいなくて、一番最後に教室を出た私はそのまま下駄箱へ向かって階段を下りていた。


そこでまたシロ先生とバッタリ会えた。


「シロ先生、まだいたんですか?」

「校長先生と話しとったらつい長くなってしもうたわ。それより孫、えぇもん持っとるやんけ」

シロ先生は私のポッキーを指差しながら、

「俺にもちょうだい。代わりにジュースごちそうしたるわ」

いつもの爽やかな笑顔でそう言った。

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