つま先立ちの恋
◇◆

帰り道、グラウンドに目を向けると女子ソフトボール部の子たちが午後からの部活の準備を始めていた。それを遠くから眺めながら懐かしい気持ちになる。


去年までは私もあの場所にいたんだよね。日に焼けて真っ黒になりながら毎日練習してたっけ。

楽しいことばかりじゃなかったけどみんな一生懸命で、だからこそぶつかって、だからこそひとつにもなれた。

そう。プレーに集中しているとしがらみも何もかもどうでもよくて、目の前の一球一球を夢中で追いかけることができた。


ああいうのをきっとがむしゃらって言うんだろうな。


なんて、私は笑った。


懐かしいだなんて、まだそんなに経っていないのにね。

< 199 / 468 >

この作品をシェア

pagetop