つま先立ちの恋
「なんかね……和泉と一緒にいるの、楽しくなかった。映画もね、実はあんまりよく覚えてなくて。

だって和泉ね、私のこと女の子扱いするんだよ。今までそんなことなかったのにさ。だから全然楽しくなかった」

エスカレーターに乗る時はいつも私を先に乗せてくれた。私の後に乗った和泉の手が手すりに置かれた時、ドキドキした。

視界の端に入る和泉の手が、私に届きそうで。

映画館でも、真っ暗で段差に躓きそうになった私にすぐに気付いてくれたし、和泉と向かい合って食べるハンバーガーは味がわからないくらい何故か緊張してしまって。

そんな私を和泉があまりにも優しい目をして笑うから。

だから、、、、、

「つい、言っちゃったの。つまんないって」

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