つま先立ちの恋
柏木さんの無言のプレッシャーは、相変わらずの破壊力だった。この緊張感、半端ねぇ~、、

てか、どうする私!

「あの、その、これは…えっと、つまり」

てゆーか、思いきりバレンタインチョコを抱えてるし、毎年のことだから今更説明することなんて何もないんだろうけど。

取り敢えず言い訳を聞いてください!

そんな私に柏木さんが言った。


「セキュリティを強化させていただきました。そこから先は社員証の認証がなければ開きません」

ハッと見ると、確かに右端っこに鳥カゴみたいな四角い機械があった。小さな赤いランプが点灯している。

成る程。つまりそこに社員証を提示するとドアが開くってことね。ホテルのオートロックみたいな感じ?


…てか、こんなのあるなんて聞いてないし!


『灯歌ちゃん…』

私が柏木さんの雰囲気に呑まれそうになっていると、牛くんが私の名前を呼んだ。


うん。ここまで来たんだもん。引き返せないよ。


そうだよね。


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