つま先立ちの恋
「シロ先生、どうかしましたか?」

「お、え~と、東雲やったか? すまん、ちょお安西先生呼び出してくれへん?」

「安西先生ですか?」

「時間になってもグラウンド来うへんねん。またどっかで居眠りしとんとちゃうかなぁ」

「わかりました。グラウンドに来てもらえばいいんですね」

「頼むわ」

シロ先生は右手を顔の前にして、お願いのポーズ。葵ちゃんは快く引き受け、早速お仕事に取り掛かった。


『安西先生、安西先生。グラウンドまでお越しください』


学校に響き渡る葵ちゃんの声。いつもながら心地の良い音だなぁ。

あ、シロ先生、目ぇ閉じてるし。


「呼び出しましたよ」

「ありがとな。相変わらずええ声やね」

「ありがとうございます」

さすが放送部のアイドルは笑顔も可愛い。シロ先生の目、いつもより細くなってないか?

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