姉弟道
「ちょっと!」

俺に変装グッズを取られて、素顔を表したリコが俺の手からグッズを奪い返そうとした。

赤みたいな茶色の長い髪が揺れて、そこから花のような甘い匂いが漂った。

シャンプーの匂いだろうか?

リコは香水が嫌いで、香水をつけないタイプだ。

俺はリコの手からグッズを遠ざけた。

それでもリコは負けないと言うように、手を伸ばしてグッズを奪い返そうとする。

変なところが負けず嫌いなんだよな、こいつ。

そう思いながらも、リコをかわいいと思っている自分がいた。

俺も俺でバカだよな。

必死のリコをかわいいって思うなんて、重症かよ。
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