~天使はふたたび舞い降りる~
求める手
病室をのぞいたけれど
誰もいなかった。


これから奈楠をどう
支えていくか・・・・・


強い気持ちがなければ
奈楠には
届かないだろう。



どうして
もっと早く気がつかなかったのか。



奈楠の気持ちが重くて
避けていたから
こんなことになってしまったんだ。



玄関を出て駐車場に向かう途中
中庭で車椅子を押す
あの女の子を見つけた。


女の子が俺を見つけて
会釈した。



「こんにちは。」


「こんにちは」


ネクタイの君は、一瞬戸惑いながら
会釈してくれた。



「ほら、四季さんのお友達の
・・・・・」


「佐川です。
佐川芳樹です。」



「四季の?
あ、四季の・・・・
中村です・・・中村優です。」



「芳樹さんは、四季さんの恋人なの?」


「そう・・・言えるのかな。」
照れ笑いした。


「四季はいい子だから
どうかよろしくおねがいします。」
さわやかな笑顔で微笑んだ・・・
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