東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
スピードの出る自転車より、自分の足で走ってるあたしになら追いつけると思ったのか、ミニパトが左の道に入って、あたしのほうを追いかけてくる。
おまけに、すぐにまいてしまえると思ってたのに、けっこーしつこく追跡してきて、気がつくとあたしは袋小路の行き止まりに追い詰められていた。
「もう逃げられないわよ、観念なさい♪」
婦人警官がミニパトを降りて、ゆっくりとあたしのほうに近づいてくる。その唇に微かな笑みが浮かんでいた。
「諦めない! 最後の最後まで、あたし、絶対に諦めないから!」
あたしは自分の身長より高い壁に飛びつき、パンツが見えるのも気にせずによじ登ると、壁の向こう側に飛び降りて、よその家の庭の中を走り抜けた。
こーいうとき、子供の頃に鍛えた“おてんば”が役に立つってもんだ♪
「いいか、栗栖 愛、最後の最後まで絶対諦めるな……諦めたらそこで終わりだぞ……いいか、絶対諦めるなよ……そうだ、諦めないかぎり、最後にはならないんだ……」
走りながら、まるで呪文のように自分に言い聞かせているあたしがいた――――