ふしだらエデュケーション
よろめきながら、私はその場に立ち上がった。

膝を払い、乱れた着衣を正す。

何度か深呼吸して息を整える。

火照った体が徐々にクールダウンしていくのがわかる。

胸に手を当ててみる。

幾分、動悸も治まりつつある。

どうにか平常心を取り戻す。

妙に静まり返った教室を見回してから、小さく咳払いを一つ。


そして、終業のチャイムが鳴り響いた。


――終わった。


……なんとか無事に切り抜けたわ。

危なかったけれど、今日もどうにか純潔を守り通すことができた。

淫獣たちの禍々しい欲望の渦中にあって、恐れずに立ち向かい、自らを貫き、教師としての職務をまっとうすることができた。

こうして試練を乗り越えるたび、私は少しずつ強くなっていけるんだわ。


心地よい疲労感に包まれて、しばし勝利の余韻に浸る。

目を閉じて、耳を澄ませば、どこからか賛美歌の荘厳な旋律が聴こえてくる。


そして私は教壇に立ち、晴れやかに言い放った。


「今日の授業はここまで。
“See you!”」


惜別の声を上げる生徒たちを振り切り、二年C組の教室を後にする。
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