【短編集】僕達の夏
…―『凄惨な交通事故、3歳の双子残して両親死亡』―…


頭から血を流す泰斗と新聞に載った両親の写真が重なる。

唯一の肉親が、自分の半身がいなくなってしまったら?

. . . . . . . . . . . . . .
自分はこの孤独に耐えられない。



「大丈夫だよね!?死んだりしないよね!?」


いつもは強気な、今はいつ泣き出すかもわからないようなクシャクシャな顔が、すがるように耕平を見上げる。


「出血のわりに傷は酷くないから、大事には至らないそうだよ。大丈夫、死んだりなんかしない。」

安心させるように、その柔らかい髪をクシャリと撫でる。
それを聞いて、晃矢は些か落ち着いた様子だった。


「…後遺症が、残らないと良いんだけどね。」
「コーイショー?」
「頭を打っただろう?それで何か支障が出ないと良いんだけど…。」



治療は問題なく終了し、泰斗はそれから3日昏睡状態だった。

目を覚ました泰斗は、すぐに脳の精密検査を受けたが、身体的に問題はなく、傷口の抜糸を済ませれば退院できるとの事だった。
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