【短編集】僕達の夏
迷い路を抜けて
一夜明け。

今までと変わりなく日常に戻った私は朝の外気を吸い込みながら家を出た。



学校に向かう私の肩からは余分な力が抜けていて、なんだか足取りも軽い。



白いキャンバスの前に座ると、そこに昨日までの憂鬱さは全然見当たらない。

 頭の中では、あの人形の歌声やリリーの言葉、マスターの言葉、そしてあのココアを思い出す。


ただ素直に、自分が感じたそのままをキャンバスにのせよう。
難しく感じる必要はないんだ。
心は無限大で、確かに此処に灯ってる。







うん、

なんとかなりそうだ。









キャンバスの向こうには窓越しに真っ青な空が広がっている。
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