【短編集】僕達の夏

本を読む傍らスプーンを持ち一口、口に入れる。

そして、独り言のように呟いた。





「…そう言われれば、そのようだ。」



きっと原因は調子に乗って混ぜ込んだステーキソースだ。


読み終えた本を閉じて息をつく。

そして椅子ごと振り返り僕は座ったまま声の主と向き合った。





「不法侵入になりますけど、僕にまだ何か?」






そこに立っていたのは、やはり夕方に声をかけてきた奇妙な男だった。
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