【短編集】僕達の夏





"神隠しにあって来ます。 孝司"









書き方が思い付かず、置き手紙にはそのまま書いておいた。

僕を捜す事に、あまり労力を使って欲しくなかった。





いつ神隠しに遭うかもわからないのに、何故その日の朝手紙を置いていったのかは自分でもよくわからない。


もしかしたら、予感があったのかも知れなかった。





「いって来ます」


いつもどおりに居間を通ると、ソファーで新聞を読んでいた叔母さんの旦那さんが顔を上げて柔和に微笑んだ。



「いってらっしゃい」




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