【短編集】僕達の夏



向こうからこちらへ来る時はなかった感覚だ。





そんなことを考え、ふと思い出す。









嗚呼、
ヒグラシに伝え忘れた事がある。








「ヒグラシ、君はやっぱり蜩と一緒だよ」


彼がまた怪訝そうに眉をしかめる気配がした。





「君の声もやっぱり、夕暮れの中が1番似合う」













ヒグラシがどんな反応をしたかは、わからなかった。
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