鎖を解き放し者
「執事が裏玄関にこいってさ。重要な預かりものを渡すらしいよ」
 
 
 ニコニコと笑いながら、ウィンはフレイの前に止まり伝言を伝えた。
 
 
「俺に?
 荷運びしろじゃねくて?」
 
 
 疑問を感じながらも、フレイは斧を台に突き刺し、歩きだす。
 
 
「うん。ほら、きっと前みたくだよ!
 二年前の……」
 
「ああ、なるほどな」
 
 
 ウィンが、歩きだしたフレイの腕に手を回しながら言った言葉に、彼は納得したように何度もうなずく。
 
 
「で、おまえ、仕事は?」
 
「大丈夫だいじょーぶ。
 見てからやるから!」
 
「たく。怒られても知らねーぜ」
 
 
 ニコニコ嬉しそうに笑う彼女の言葉に、フレイは苦笑した。
 
 
 そして二人は、やや速歩きでこの場をあとにする。
 
 
 
 この二人、髪や目の色も造作の違いも肌の色もまったく違っていた。
 
 そんな彼らだが、たった一つ同じ点がある。
 
 それは、ボロボロの衣服に身を包み、薄汚れていたことであった。
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