Butterfly's dream ―自我の境界線―
 「瑞樹ちゃん、ちゃんと病気を治さなきゃお外で遊べないしパパやママにも会えないよ?」



 橘の言葉に瑞樹はぐっと言葉を詰まらせる。そしてほんの少し目じりが緩んだ気がした。

 それを見て橘は効果があったことに安堵しながらも少し言い方を変えればよかったと後悔をする。


 橘が医師としての配慮と罪悪感の間で揺れていると目じりを緩ませた瑞樹がきゅっと唇を真一文字にし、涙を堪えて橘を正面から見据える。
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