かくしご
 職場には、若い人が多い。 
男子は、この戦争で、多く戦死したので
少ないが、
その分女子が、以前の男子のように仕事をしていた。 
 
 信太郎の勤務する課には、
去年入社した、大きな眼の19歳の美代子がいた。 
彼女は、呉服屋の娘らしく、
流行に敏感で、 今日も大きくひらくスカートをはいていた。
 
 「三田さんのスカートずいぶん開くんだね。」
と思わず言うと

 「何も知らないんですね。
 今、流行っているんですよ。
 奥さんは、はきません?」
と美代子に笑われた。

 「いやぁ~。女房は、もんぺしか…。」
と誤魔化した。
 「じゃぁ、あたしがお教えしましょう。
奥さんにお似合いになるスカートをお選びしますわ。
一緒に銀ブラしましょうよ。」
とまで言われた。
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