The Last Lie

『…私、最悪』


誰もいないトイレで小さくため息をついた。

自分が辛いからって五十嵐君まで巻き込んで…

これからバイトの柚杞も待たせて…


ため息は大きくなるばっかり。


いつまでもこんなところにいる訳にいかない。早く戻んなきゃ。


ある程度赤みの引いた目を最後にもう一度ハンカチで押さえて、図書室に戻った。


図書室の中ではまるで何も無かったみたいに五十嵐君が本を読んでた。

いつもの場所で本に目を落とす姿からは最初に見た怒りなんて全く感じない。


良かった…


『ありがとう、私帰るね』

扉の音に反応した五十嵐君と目が合って、お礼を言った。五十嵐君は特に何も言わずに『またね』と返して来ただけだった。



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