鬼畜な俺様執事


それでも、朔夜の顔から笑みが消えることはない。



「綾香の両親からか?」



岡谷さんは、それには返事をせずに私の方を向き、腕をとった。



「まさか元執事がお相手とまでは、わからなかったようですが。

ただ私は

『もし悪い虫がついてたら追い払え』

と言われただけです」



掴まれた腕は、女の人とは思えない強い力で、私は思わず顔を歪めていた。



「『もし、いたら』……ね」



朔夜はそう呟き、こちらへと近付いて来る。



「俺は、女だからって容赦しない」


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