鬼畜な俺様執事


父はうなだれ、額に手を当てた。



「……許されないことだ」



ぽつりと呟いた力ない声に、私は「ごめんなさい」と繰り返すしかなかった。



愛することを、謝らなければならない。



そんな張り裂けそうな胸のうちを、これから私たちは背負っていかねばならない。



それでも、私は朔夜を選ぶと決めたから。



「……部屋へ戻りなさい」



父はそう言って、私から視線を外した。


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