チェリーをあげる。

渡さんは相変わらず塾のバイトに勤しんでいたけど、


私は私でまたいろんなバイトに手を出していた。




渡さんは「お金なんていらないよ」って言ってくれたけど、


万一のことを考えて、私は節約生活を心がけながら、コツコツ貯金することにしていた。



まあ、これは単なる自己満足かもしれないけど、


早くエッチしたいって思ってた頃の私より、全然健康的だと思う(笑)。






木枯らしが吹き始め、少しずつ寒くなってきた頃。


冬物の洋服を出す際に、


私はあの勝負下着を秋物の洋服と一緒にクローゼットの奥深くにしまい込んだ。




これはいつか


渡さんの心が溶ける日まで取っておくんだ…。



だからそのときまでバイバイ…。




そう考えて、私は早くチェリーを捨てたいという夢をあきらめ始めていた。
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