チェリーをあげる。
「あら千歳(チトセ)ちゃん。意外と早かったわね」
そう言って奥から出て来たちーちゃんのおばさんに「お世話になります」と手土産を渡すと、
おばさんは「あらまあ、こんな気を遣ってくれなくていいのに…。ごめんなさいね」と頭を下げた。
どちらかというとちーちゃんはぶっとんだ人間だけど、
おばさんの方は意外と普通で、親切そうな人だった。
「じゃあ、こことここの二部屋を用意しといたから、好きなように使ってね」
案内された2階の和室は、窓から海が一望できる、とても眺めのいい部屋だった。
古いながらにキレイに掃除してあって、テレビや空調なんかもちゃんと装備されている。
普通の旅館とそれほど変わらないかんじで、安く泊めてもらうにはなんだか申し訳ないくらいだ。
「下の食堂にお昼用意してあるから、腹ごしらえしてから泳ぎに行くといいわ」
ちーちゃんのおばさんがそう言ってくれたので、
私達は適当に荷物を置くと、食事をしながら今日の予定を立てることにした。