チェリーをあげる。

ひろぽんは「いってー」と言いながら、たたかれた方と反対の手で赤くなったところをさすり出した。




「けどさ…、渡くんもチェリーじゃないくせに意外と真面目だなあ…」




え…?




「それともよっぽど雛に色気がなかったのかな…」




は…?




ひろぽんの言葉に、私の耳は敏感に反応した。




「ねえ、何…?その話…」


「あ?」


「だからその…、渡さんが初めてじゃないって話だよ…!」




私はひろぽんを問いただした。




「なんでひろぽんがそんなこと知ってんの…?」




するとひろぽんはあっさり答えた。




「ああ…。昨日風呂に入ったときにさ、彼に参考までに訊いてみたんだよ…。そういう経験あるのかないのか」


「え…?」


「だってさ、渡くんまで未経験だったら、もう少し打つ手を考えなきゃいけないだろ…?」


「は…?!」


「けど、渡くんももう経験済みって言ってたから、あとは雛次第かなーって思ってたんだけど…」


「は…?!何、それ…!」




私は思わず泣きそうになった。



…聞かなくてもいい話をわざわざひろぽんに聞かされたからだ。
< 80 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop