チェリーをあげる。

それからというもの、


私は彼が勤めるレンタルショップまで毎日自転車を走らせた。




土日は自分もバイトがあったので、平日しか行くことができなかったけど、


5日間毎日通い続け、閉店時間までそこにいりびたっていたら、


渡さんがバイトしている時間帯が簡単に把握できた。


どうやら彼は夜の7時から閉店時間まで働いているらしい。






毎日顔を合わせていれば、いずれ私のことも覚えてくれるんじゃないかと思って、


適当なDVDをつかんでは彼のレジに並んでみたけど、


向こうが鈍感なのか、こっちの印象が薄すぎるのか、


彼が私に気づいてくれる様子は一向になく、


私の片思いは何の進展もないまま、ただ時だけが過ぎていくのだった…


(嗚呼)。
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