Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
水が煮立って来ると
なんか鍋に
油が浮いてきて、
お母さんがオタマに
それを掬って、流しに捨ててる
冷えていたアルミが
ボン!と音をたてた
「焼きそばでも
そうなるよね」
「あら、いつ食べたの?」
「……学校の理科室で
山ゴンが、フラスコでお湯沸かして
食べようって
んで、山ゴン
窓の外に、水道あって
そこにお湯、捨てようとしたんだけど
蓋開いて、アーーーッ!って」
「山ゴン!
やりそうだなあ!」
お母さんが、大笑いする
山ゴンは、私が一年生の時の担任
天パで、
ピンクのスモーク入ったメガネしてる
凄いボケてる先生なんだけど
私が骨折って、少し学校休んだ時
毎日連絡くれたり、
病院来てくれたり、かなりイイ奴なんだ
…中学一年の時の担任が
あんまり良くなくて
先生不信になってたんだけど
山ゴンのお陰で
かなり復活した
それは、他の生徒にも同じで
今は、
保健室登校の男子がいるらしくて
昼休み、毎日、お弁当を
保健室に持って行くのを見掛ける
たまに笑い声も、中からする様になった
「ねねユカ、山ゴン結局、
焼きそば食べられなかったの?」
「ううん
放課後で、理科係と
私にカップ麺くれたんだけど
その男子とわけてあげて
三人で食べたよ」
「よかったね」
お母さんはやたら山ゴンを
気に入っているらしく
まだ可笑しそうに
お腹を抱えてる
「…お母さん」
「あははは あ、うん 何?」
「………
"CheaーRuu"の、……さ
ヴォーカルは……
どんな人なんだろ……?」