Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
『彼女』が青山さんと
車に入って来ると
アニキが
「カッパの皿渇いたか」とか言って
意地悪な顔して、笑ってる
青山さんが、声あげて笑って
……びっくりした
彼女はアニキに
缶コーヒーを投げる真似をして
アニキもそれが真似って解ってて
ハイハイって感じで
片手を出して受け取る
………なんか
うまく言えないけど
居心地が、ヘン
ここはやっぱり、皆の場所で
…『彼』は、
青山さんと『彼女』が
同じものって言ってたけど
……『彼』も『彼女』も
青山さんも、…アニキも
皆同じ色だ
それも、鉄壁の。
…私はたまたま知り合いになって
構って貰えてる
今日だって私があの横断歩道で
"マキちゃんのアニキ"と
擦れ違わなければ
―― ただ明かりの着いていない
ライヴハウスの前で座って
…夕方になっても
貸し切りだから入れなくて
何も出来ないまま
また、時間をかけて、
千葉までノソノソ戻ってたんだ……
いてもいいのかな…
私、ホントに、ここに―――
…やりたい事
明確にわかってない
ただフラフラしてる私なんかが
ここに居ても……
家に帰れば
すぐに寝られる布団、
言えば出てくるご飯
後一週間もすれば学校
部活はもう、出来ないけど
学校ではやる事があって
…あっても
どっちつかずで
宙ぶらりんだ……
私は、
―――何がしたいのかな
何処に行きたいのかな……
青山さんと『彼女』が
一番後ろの、広い席に座ると
車が走り出して
コンビニの位置が変わる
車には
ラジオがかかって
"Light&Lamp"の曲
"空ばっかり褒められるから
ボクらは地べたを駆け回る〜"って歌
アニキがカーナビをいじると
機械の女の人の声で
『伊豆に向かいます』と聞こえた