Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
――久しぶりに揃った皆の中で
騒いで
笑いながらベースを弾きながら
だけど
変わって行く世界を感じてた
真夜中過ぎに
ユリちゃんが半分寝始めて
私も海で泳いだから
実は、結構疲れてたっぽくて
明日の朝早くから
また練習しようって事になった
「待って〜、戻る前にトイレ行く〜」
「あ、私も行く!」
結局全員行く感じで
トイレに向かったんだけど
「うわ〜!ゴシックトイレ〜!
トイレがカッコイイって
何事だ〜」
濃いセピア色のタイルと
鏡は丸い、
ベルサイユ宮殿にありそうな
装飾の縁
皆で笑いながら
トイレの鏡台の前に立った
「ユリちゃん
またポーチが新しいー」
トイレの個室の中から
「ANAのメイクセットが入ってた奴〜」
「へーー」
ショッキングピンクの
光沢のある生地に
ちょっとリアルな
黒い蝶が一匹プリントされてて
こういう系統、ユリちゃんは好きで
よく持ってる
―――蝶とか、
言葉、話せないけど
……あのクシャクシャの羽を
拡げる時って
もーのすげーイテー。のかも
しれないなあって
何となく思った
突然変えられた世界に
まだ苦しんでいた『Azurite』の皆
だけど
一番変えられてしまったハズの
『彼女』が
その羅針盤みたいになって
…私だって
こんな自分も、キモチがあるなんて事も
気がつかないで生きて来たんだ
―― あの人
今何してるのかな
ホントにドラマみたいに
外国いっちゃったのかな
……応援してくれる仲間は、
いるのかな…