Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


私の親は
"行ける所行けばいいんじゃない?"と
高校に入る時とは
うって変わった態度

担任の永川先生にも
『自分らの頃とは違って
子供の数が少ないし
四大に入るのでも無ければ…』と
結構、お気楽な対応をされた

先生は大学生の時
卒業で単位が足らなくてやばかった時
教授に"好きな人へのラブレターを
千枚原稿用紙に書いて来なさい"と言われ
それで卒業したとか言うツワモノだ


ユリちゃんとは
同じ地元の、女子大行こうかあと
話していて
シノは東京の大学に行くと言ってる

……前にバンドで色々あった時
海で『解散かなあ』と
来なくなったマキちゃんの事を
三人で考えて居た時よりも
切迫感みたいのは、無い

でも
毎日少しづつ
皆との間に隙間が出来て
いつの間にかいなくなってるんじゃないか

そんな空気が自分を包んでいる




――空を見ると月が昇っていて

電気屋さんの
ショーウインドーのテレビで
"CheaーRuu"の
最初のプロモーションをやってた

家にDVDあるのに飛び付く


―――夜中みたいな都会の風景
何処か屋上でシーツが沢山干してある

その間に皆がいて
『彼』が叫んで、

皆が演奏しててるトコに
早いワンカットが
合間に入るんだけど


――皺が沢山入った
白いシーツのベット

夏の空


速回しで
どんどん荷物を背負い
階段を上り下りする
汗だくの赤池さん

倒れた木箱の上のクマ
緩く、近くと遠くを繰り返す、
天井の扇風機の景色

プラネタリウムと天文台

汗をかいて、シャツを脱ぎ
ランニングを着た背中と腕と
蜥蜴

オレンジのランプシェード
上からアップで落ちて来て

―― 潰れるトマト


その時、『彼』が歩く
青空一面の硝子窓が割れる

青山さんはライヴハウスで
ファンの人が沢山いて
オレンジのライトの下
叫びながら弾いてるシーン――



でも、最後は――どこか
丘の上の、広い草原


"CheaーRuu"の
シングルのジャケットにあった
椅子のシーンで終わる


"CheaーRuu"



< 7 / 430 >

この作品をシェア

pagetop