〇●ベリージャム●〇
「あたし雅人君と教室まで行くから。」
そう言って私はチャリから降りた。
「わかった。」
稜哉はチャリを引きながら私たちの前から去った。
「それじゃ姫菜ちゃん。行こっか。」
雅人君の左手がうずうずしているのが見えた。
最近雅人君は私といる時大抵は右手か左手がうずうずしている。
これは私の予想だけど多分手をつなごうとしているんだと思う。
前の私だったら手をつないでいたかもしれない。
でも今はそういう気になれない。
だから気づかないふりをしている。