✝恋人魚✝
『寒いのか?
 …待たせて悪かった。』


これは俺の本心。


下心でやったんじゃなくて

清をこんなにしてしまった俺が

情けなかっただけだ。


「…光喜…?
 光喜が濡れちゃうよ…??」


抱きしめられて恥ずかしいのか、

耳まで真っ赤にしてる清。


そんな清の声さえも

耳に入らない。


俺、自分を抑えられない。


あぁ…清が言う前に

俺の気持ちを話そうか…。


『清…俺さ…。』

「まって…。光喜…離して!!」


いきなり清が拒絶したので

俺はショックを隠せない顔を

したんだろうか。


その数秒後には

清が「違うの!!」と

誤解を解こうとしていた。


「ハナシ…聞いてくれる?」

『ぉう。』


それから清が

きちんと座り直し


話を始めた。
< 36 / 62 >

この作品をシェア

pagetop