異次元の旅人(ディメンション トラベラー)
ヴィンセントはオレットを縛った縄をほどいて抱き起こした。

「すまねぇ、迎えに来るの遅くなっちまった」

オレットは流れた涙を拭いヴィンセントを睨みつけた。

「何で助けに来たのよ!!」

ヴィンセントは呆れてものも言えなかった。

「それが命を懸けて助けに来た相手に言う台詞かよ」

「だって貴方なら私なんか忘れて旅立てたでしょう?」

ヴィンセントはため息をついてオレットをお姫様抱っこした。

「ちょ……恥ずかしいよ」

「言っただろ?俺の姫(プリンセス)を助けに来たんだ。」

顔を真っ赤にしたオレットをバイクの後ろに乗せ自分もバイクに跨った。

ふと目をやると男が持っていた何かのスイッチを押した。

「ふははははは、馬鹿めこの砦は爆発してお前達もまとめてあの世行きだ~」

ゴロゴロと砦が揺れ始めた。
そんな中ヴィンセントは男に向かってウインクした。

「ひとりで潰れてろ!!」

ヴィンセントはアクセルいっぱいにして轟音と共にバイクを走らせた。

「な……なんじゃあ……」

ドスンッ
……………
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