空の神衣
「見えなければかわせない、とでも思ったかい」

 リボルバーの撃鉄を起こし、津也も平然と言い放つ。

「ただ見えないだけで、速さはなかった。あの程度なら、避けるのは難しくないよ」

 言葉と共に、

 ピシィ

 アガートラームの鎧。

 その左肩から、小さく歪みの音がした。

「なにっ」

 アガートラームが驚いて見ると、肩当てに細かい亀裂が入っている。

「どうだい。見物席から雷台に引きずり出された気分は」

 銃口をアガートラームに突き付け、津也は鋭い眼差しを向ける。

「もう一度聞く。あんたは何のために生きていたいんだ」

 その視線を意に介さないように、アガートラームはつまらなそうに答える。

「知れたことよ。私は選ばれた存在なのだ。その私が生き続けることに、理由などいるものか」

 ガアァン

 銃声が響く。
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