あのうさぎはもういない
現在
あいつが死んだ。


それは、あいつと別れてから3ヶ月経ったある日だった。


たった今、教師から伝えられた言葉は、

あまりにも簡潔で、それでいて残酷だった。


「芹澤さんが、昨夜亡くなりました。」

「今日、お通夜が営まれます。」

「お通夜にでたい、という人は制服で行ってください。」



なんで、何も言わないんだよ。

あいつは、なんで死んだんだよ。


あいつはなんで死ななきゃならなかったんだよ。



クラスの女子の数人が朝から泣いていた。

うちのクラスだけじゃなく、うちの学年の女子の半分くらいは泣いているかもしれない。


芹澤は、女友達が多かった。

逆に男友達は少なくて、かなり奥手だ。


約1年。



俺はあいつだけを見続けていた。


芹澤は簡単に死ぬような弱いやつじゃない。



からだも丈夫だし、精神的にも強い。


じゃあなんであいつは死んだ?

死ぬ必要があったんだ?


女子の1人が呟いた。


「なんで郁なの…?」




俺が聞きたい。
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