君が為に日は昇る
『四、戦場の大火』
その昔、この国には『侍』と呼ばれる人間達がいた。
ある者は名誉の為、ある者は国の為、ある者は誰かの為に。刀を振るい、そして滅んでいった。
これは、誰も知らない『侍』達の物語。




 ━君が為に日は登る━






戦火に包まれる街や村。怒声、悲鳴、剣撃、砲撃、馬の蹄鉄。


様々な音が生まれては、燃え盛る炎に飲み込まれていく。


それは鮮やかに色付いた銀杏の葉でさえも。


この年、事態は激変した。


幕府と反幕府勢力。今まで保っていた双方の均衡が崩れたのだ。


幕府がその威光を輝かせる街。


『天府(てんふ)』


ここを目指し、同盟を結んだ地方諸藩が進軍を開始。それを迎え討つべくした幕府も出兵。


『天府』の目前である。


『天ヶ原(あまがはら)』


その場所にて遂に激突することとなったのだ。


異国から輸入した最新鋭の兵器を用いる諸藩。
数を有する幕府。


この国の行く末を占う戦は長期戦の様相を見せていた。


時代が変革を迎えようとしていた。


『四、戦場の大火』


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