カラフル・バニー
イチはあからさまに顔を歪め、教室に戻ろうと足を進める。

あたしとさっちゃんはそれに続いて駆けた。


「さーてと、さっさと家に帰って渚の誕生会の準備でもすっかぁ」


イチは眠たそうに伸びをしながらそう言った。


「どこでやんの?イチの家?」

「んー…俺んちだったら邪魔が入りそうだしな…」

「じゃあ渚の家でいいだろ」


さっちゃんはフンッと鼻を鳴らしながら喋る。


「お前なぁ…仮にも(渚の家のドアを壊すという)前科があるだろーが…」

「前科?そんな覚えはない」

「ったく…」


ザワッと木々達が音を鳴らしながら包み込んだ。さっきまで迸っていた緊張も、柔らかにほぐれていく…
< 140 / 150 >

この作品をシェア

pagetop