カラフル・バニー
イチはさっちゃんを思い切り睨みつけた。さっちゃんは口笛を吹いて誤魔化す。


「…早智子はどうでもいいとして、浬子成長したな。お前、前はそんなんじゃなかったぞ。成宮の時は、いじいじ下向いてるだけだったもんな」

「渚だから…出来たんだと思う…」

「そっか…アイツ口悪ぃけど、いい奴だもんな」

「うん」


イチがそう言ってくれたのは何よりも嬉しかった。さっちゃんも小さく微笑みこちらを見ている。


「つるっぱげ、妬くんじゃな…」

「それ以上言ったら絞め殺すからな」

「お!なんだい?マジだったのかね?虚しいねぇ。儚き恋だよ」

「んなわけねーだろ!」


イチはさっちゃんを追いかける。その微笑ましい様子が、あたしの目に焼きついた。


「戻るぞ!浬子。早智子なんかほっとけ!」

「そう言うけどさぁ、なんだかんだ言ってイチとさっちゃんて結構似合ってるよね」

「はぁ?勘弁してくれよ。渚にも言われたぞ、それ」

「やっぱ皆そう思うんだよー」

< 139 / 150 >

この作品をシェア

pagetop