スリーズ・キーノート
「はあ……いいですよ。だけど、先に行っててくれませんか?僕もうちょっと、煙を見ていたいんです。」
「ああ……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「……あんまり、母の顔は覚えていないんですけどね。時々、思うんです。」
「……何を、ですか?」
「母は幸せだったのか、と。」
「……僕には解りません。」
「僕にも解りません。ただ、母が幸せを求めた結果は、これではない事を願ってます。」
「……中、入りましょうか。」
「そうですね。煙はまだまだ絶えそうにありませんから。」
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