スリーズ・キーノート


コーヒーカップと受け皿が、耳障りな音を立てる。レイさんが動揺するあまりに、テーブルに手をついて揺らしてしまった結果だ。幸運にも、コーヒーはこぼれてない。
それよりもレイさんは、眼を震わせ、泣きそうな顔をしている。……まだ話さなければいけない事、あるんじゃないのかこの人……。

「あの……。」
「あ、ごめん。ごめんね。シュウくん、今日は泊まっていったら?イチ、帰ってくるの遅いし。姉さんには連絡しとくよ。」
「いえっ……。」
そんな事をしたら、学校をサボった事がバレてしまう!僕が引きつった顔をしていると、レイさんは柔らかく笑う。
「大丈夫、そこらへんはちゃんとするから。」
あああああ……。
こんな話を聞いてるなんて母さんが知ったらどうなるんだ……!?

怒られるとか以前に、悲しまれそうだ。

こんな母さんでごめんね、とか言われそう。
でも僕は大丈夫。母さんは母さん。何があっても母さんなんだ。
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