君の手を繋いで
「何で……」
日向はその場にへたり込んでしまった。
「約束……したのに……ずっと、一緒にいてくれるって……約束、したのに……何で……何で、居なくなるの……」
床に、日向の涙が落ちた。
それは、ぽたぽたと、とめどなく落ちていった。
「……っく……っふ……うっ……うぅっ……」
日向は、嗚咽を漏らして、泣き始めた。
いつも一緒にいたけれど、日向が泣くのを、俺はその時初めて見た。
俺は、何も言えずに、日向の後ろで、声を出さずに、涙だけ流していた。
ふざけんなよ……クソ兄貴……何死んでんだよ……
よりにもよって、彼女の誕生日に……それも、日向の誕生日なんだぞ……
果たせない約束までして……何考えてんだよ、兄貴……
それ以来、日向が変わった。
前に比べて、元気がなくなった。
兄貴が死んで、一年も経つっていうのに、それは変わらない。
日向自身は、前と変わらないように振舞っている。
でも、違う。
俺から見てると、無理してるみたいで、痛々しい。
そしてそれは、日向がどれだけ兄貴のことが好きだったのかを、思い知らされた。