この胸いっぱいの愛を。
──────ここで適当に待っててね。
そう言って案内されたのは、駿河先輩の部屋。
黒を基調とした部屋は意外にもきちんと整理整頓されていて、所々に筋トレで使うような道具が置いてある。
机の上にはテニス雑誌が数冊置いてあって、付箋が貼ってあるものも。
これを見て、研究したりしてるのかな……
そう思うと、自然と口元が綻んだ。
しばらくすると階段を上がる音が段々近づいてきた。
閉めてあったドアが開いて、先輩が姿を現す。
「悪い、待ったか?」
「いえ、全然」
首を横に振ると、先輩はホッとしたような表情で椅子に腰掛けた。
「お前も座れよ。
立ちっぱなしじゃ疲れるだろ?」
タオルで濡れた髪を拭きながら、ベッドを指差した先輩。
「し、失礼します……」
私は恐る恐る、ベッドに腰掛けた。
その様子を一部始終見ていた先輩は、何がおかしいのか口元を押さえて肩を震わせている。
「あの……どうかしました?」
「いや…なんでもないっ」
もう、何なの一体!!
「で………
俺に、聞きたいことって?」
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