この胸いっぱいの愛を。



「ふぅ〜。疲れた」

私は自分の部屋に戻って、
ベッドに思い切りダイブした。

気を抜いたら、すぐに眠ってしまいそうだ。


下の階から将兄の声が聞こえる。

祐兄のテキトーさに呆れて、
小言を言っているんだろう。

まぁ祐兄のことだから、それすらテキトーに受け流してるんだと思うけど。




祐兄は一言で言うと、雲みたいな人だ。

自由人っていうのも、強ち間違ってない。

何にも縛られずに、
思うままに今を楽しんでる。

私には、絶対できない生き方。






将兄と祐兄の共通点は、
「自分」を貫いてるってこと。

それから、優しいところ。


それ以外は面白いくらいに真逆。

顔は、整ってるって意味では似てるけど、
タイプが全然違う。

将兄は凛々しくて日本男児っぽいけど、
祐兄は優しさが滲み出てる感じ。

ホントかわかんないけど、
祐兄はファンクラブがあるとか。

この見た目で、優しくて、
しかも文武両道だから、頷けるけど。






「桃香〜、降りてきなさーい。
 ご飯できたわよー」

「はーい」


お母さんが私を呼んでる。

私はベッドから飛び起きて、
再びリビングへ向かった。




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