この胸いっぱいの愛を。



次の日も、その次の日も。


先輩は、俺のクラスにやってきた。


まぁ、俺が相変わらずチャラチャラした格好だったからだろうけど。


最初の日こそざわめいていたものの、三日目にもなると、クラスメートも慣れてきたらしい。


あまり、視線を感じなくなった。




一方俺はというと、クラスでは、いつも一人で行動していた。


それを心配してか、先輩は俺にいろいろな話をしてくれるようになった。


学校の話とか、家族の話とか。


そうやって俺は少しずつ先輩と打ち解けていき、時々だけど笑顔も見せるようになった。




入学当初は、本当にそれだけを楽しみに学校に通っていた気がする。


先輩がいつ来てくれるかと心待ちにしていて、先輩のことを新しく知るたびに嬉しくなる。


とにかく俺の学校生活は、先輩一色だったわけ。




でも、この時はまだ気付いてなかったんだ。


自分の先輩に対する感情が、何であるかってことに。




だって、普通じゃないだろ?


男の俺が、男を好きになるなんて。




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